心に響く脚本のセリフを生み出すために必要なものは?

映画でもドラマでも、脚本家が作品を執筆する上でもっとも深く考えるのは「セリフ」です。

セリフが未熟だと、主人公の魅力を伝えることができません。

また、脚本上のセリフは日常会話と同じではないので、作品の中でよりストーリーや登場人物を引き立てるセリフ作りが必要です。

こちらでは、脚本におけるセリフの役割や、脚本を書く上でのポイントについて詳しく解説しています。

また、プロの脚本家がセリフ作りで意識していることについてもお話を伺いましたので、こちらもぜひ参考にしてください。


【目次】
1. 脚本におけるセリフの役割
2. 上手な脚本のセリフとは
3. 脚本を上手に書くポイント
4. プロの脚本家のセリフの作り方
5. 脚本制作をするならPTA Inc.にご相談
6. 生きたセリフを書く脚本家が揃っています!

1. 脚本におけるセリフの役割

脚本を書く上で、セリフは非常に重要な役割を果たします。

観る側は、映像はもちろんセリフが直接心に刺さりますので、セリフの良し悪しで脚本やストーリーの大半が左右されるといっても過言ではありません。


脚本におけるセリフの役割は、大きく分けて以下の2点です。


・登場人物の性格を表現する

・ストーリーをより面白くする


セリフを考えるときは、これらの効果がより引き出されるようなセリフを考えることで、面白い脚本づくりに役立ちます。


登場人物の性格を表現する

セリフは登場人物が発する言葉なので、セリフによって登場人物の人柄を表現できます。

シニカルなセリフを放つ登場人物であればシニカルな人柄が、温かみのあるセリフを放つ登場人物であればやさしい人柄であることを、視聴者が把握できます。


登場人物の性格に加えて、登場人物がどんな立場の人なのかを表現するのも、セリフの役割です。

例えば、女性が自分のことを「わたし」というのと、「わたくし」というのと、「あたい」というケースを考えると、それぞれがどんな立場の人なのかがわかりやすいです。

大手企業のサラリーマンだったり、下町の商売人だったり、旅館の仲居だったり、セリフでその人の職業や立場をよりわかりやすく表現できます。


ストーリーをより面白くする

セリフによって、ストーリーが面白くもなり、つまらなくもなります。

脚本家は脚本を書く上で、ストーリーはもちろんのこと「いかによいセリフを考えるか」を常に考えているはずです。

脚本の評論会でも、セリフに注目する人が多いと思います。


セリフは、ジャンルによっていろいろな意味をもちます。

感情を伝え合うために使われるセリフもあれば、ミステリーで犯行の流れを説明する際に使われるセリフもあり、それぞれにどのようなセリフが適しているかは変わります。

ストーリーを進展させるためのセリフ、作品を盛り上げるためのセリフ、いずれもストーリーをより面白くするためのセリフです。



2. 上手な脚本のセリフとは

脚本に登場するセリフは、リアルタイムで話す会話の言葉とは似て非なるものです。

かといって、「映像上の世界」と割り切って考えてしまうといいセリフは生まれません。

リアルなセリフと脚本上のセリフ、どちらも絶妙なバランスが取れていることが、いいセリフが生まれる重要な要素になります。


実際の日常会話と同じに考えない

なぜ脚本と実際の会話が違うのか?

それは、「あらかじめ考えたセリフか、そうでないか」という違いがあるからです。

日常会話では、相手がどんな言葉を投げかけてくるか予想できないことが多いので、言葉を出されてから返事を考えて自分の言葉を発します。

けれど、脚本では当然ながら会話のラリーをあらかじめ考えてセリフを入れていくので、リアルな会話とまったく同じにはならないのです。

実際に、ドラマとまったく同じセリフを日常会話で使ってみたら、必ず違和感を覚えます。


けれどリアルを追求したセリフを考える

では、セリフは脚本用に考えるべきなのか?というと、そういうわけでもありません。

リアルさがないセリフでは、視聴者の心に刺さらないからです。

言い回しは微妙に実際の会話と違うけれど、リアルの場面でも通用するセリフ…というと難しいですが、脚本とリアル両方のバランスを意識することで、視聴者に刺さるセリフづくりがわかってくると思います。

3. 脚本を上手に書くポイント

では、そんな視聴者に刺さるセリフを書くにはどうすればいいのか?

  • 登場人物の性格を深く理解して想像する

  • 小説やドラマ・映画などのセリフを参考にする

  • リアルなセリフを研究する

これら3つのポイントに焦点を当てて考えてみましょう。


登場人物の性格を深く理解して、想像する

必ず抑えておきたいのは、登場人物の性格を深く理解することです。

優しいけれど照れ屋なツンデレと、気の優しい力持ちとでは、同じ「優しい人」でもセリフはまったく違ってきます。

特に、学園ものなど登場人物の多いドラマになると、登場人物に合わせてセリフを使い分けることで、個性を演出します。

セリフの役割は登場人物の性格を表すものですから、それぞれの性格がよくわかるセリフを書かなければなりません。

実際に周りにいる人たちの性格などを想像すると、考えやすいのではないでしょうか。


小説やドラマ、映画などのセリフを参考にする

セリフの書き方をはじめ、どんな表現があるかということは、既存の小説やドラマ、映画などがとても参考になります。

映像の場合は特に、作品の中で印象に残る部分はセリフであることが多いです。

それぞれの作品にどんなセリフが使われているのかを知ることで、作品全体の魅力がわかってきます。

そして、実際の会話で使用する言い回しではないけれど、視聴者の心に刺さるセリフをたくさん知ることができるでしょう。

作品のジャンルによって、セリフの表現方法は変わってきます。

自分が書こうとしているジャンル以外にも、いろいろな作品を見たり読んだりしてみるとよいと思います。


リアルなセリフを研究する

より生きたセリフを書くためには、実際に人々はどんな表現で言葉を発しているかを深く掘り下げ、脚本のセリフに活かすことが有効です。

リアルなセリフを、そのまま脚本に起こすと不自然になることはありますが、やはりリアルなセリフの中で、どんなセリフが心に刺さったかを理解していないと、脚本でもよいセリフを書けません。

自分と誰かの会話を振り返るのはもちろん、いろいろなシーンで聞き耳を立てて、どんな人がどんな言葉で感情や状況を表現しているのか、たくさん聞いて深く研究してください。



4. プロの脚本家のセリフの作り方


①永野 たかひろ氏

自分の場合は一からセリフを生み出すのがとても苦手なので、まずはいわゆる自分が好きなテンプレと言われるセリフを思いつくだけ考えてみます。

「テンプレ」とか、「ベタなセリフ」とかを最初に考えた方はすごいな、天才だなと思います。

そんな過去の天才たちのセリフを拝借させて頂き、物語の中で言わせたいキャラクターと自分なりに掛け合わせてみます。

化学反応待ちをしつつ、そこから聞いた人の印象に残る様な引っかかりのあるセリフにできるように考えたりします。

あとはそれを口に出して読んでみたりしてタイミングとか言い方なんかを調整したりしなかったりします。

セリフは、一番難しいです。

②楢原 拓氏

私はどちらかというと舞台寄りの脚本家なので、舞台の脚本(戯曲)について、とりわけここでは会話劇について書きます。

セリフを書く時に最も意識するのは、いかに説明っぽくならずに必要な情報を観客に自然な形で届けるか、ということです。

例えば、登場人物が2人いるとします。A子とB子。場所は駅の改札前です。

2人はドリカムのライブに行くために待ち合わせをしていました。もう一人C子も来る予定ですが、彼女が時間になっても現れません。C子は3人分のチケットを持っているので、彼女が来ないと入場できません。